「単位量あたりの大きさ」は難しい!
小学校生活6年間の中で、難しいと感じるであろう単元を5つ挙げると、その中の1つには「単位量あたりの大きさ」が含まれるでしょう。これは指導者だけでなく、子どもたちにとっても難しい単元の一つです。
そこで今回は、難しい単元を楽しみながら学べるように、身近な事例を取り上げました。これにより、子供たちの学習意欲を高めることができるでしょう。
一人あたりって?1㎡あたりって?
数直線に表す?
そもそも単位量あたりの大きさって?
【問題】A室、B室、C室のうち、最も混んでいる部屋はどの部屋ですか。
このような問題の場合、子ども達は大きく2つの考えを使って考えます。
①たたみ1枚あたりの人数
②子ども1人あたりの枚数
単位量あたりの大きさとは、どちらか一方の量の大きさを単位量にそろえます。
そして、それに対応するもう一方の量の大きさで比較する考えのことをいいます
難しいと感じる原因
子供たちが単位量あたりの大きさを難しいと感じる原因は主に2つあります。
1つ目は計算の難しさではなく、言葉や表現の難しさです。
2つ目はその概念の実用性を感じにくいことです。
今回は2つ目の点、つまり「必要性を感じにくい」ことに焦点を当てて説明していきます。
算数科の目標
算数科では主に3つの目標があります。全て書くと長くなるので要約すると、
①日常の事象を数理的に処理する技能を身に付ける。
②日常の事象を数理的に捉え見通しをもち筋道を立てて考える。
③算数で学んだことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。
算数を指導していると、どうしても①と②に時間を割きがちで、③についてまで意識が及ばないこともあるかと思います。
でも、③の力をどのようにしてつけていくのかを考えるのもプロの指導者としては必要な事です。
では、どうすればよいのでしょうか。
キーワードは日常生活との関連です。
問題
【問題】マクドナルドのジュースS、M、Lサイズの中で、どのサイズが1番お得だといえますか。
値段 | 重さ | |
Sサイズ | 120円 | 275g |
Mサイズ | 240円 | 425g |
Lサイズ | 270円 | 540g |
見通し
1gあたりで考えるとよいのかなぁ・・・
1円あたりで考えるとよいのかな・・・
考え
値段 | 重さ | |
Sサイズ | 120円 | 275g |
Mサイズ | 240円 | 425g |
Lサイズ | 270円 | 540g |
1gあたり何円
Sサイズ・・・120÷275=約0.44円
Mサイズ・・・240÷425=約0.56円
Lサイズ・・・270÷540=0.5円
1円あたり何g
Sサイズ・・・275÷120=約2.29g
Mサイズ・・・425÷240=約1.77g
Lサイズ・・・540÷270=2g
Sサイズ、Lサイズ、Mサイズの順になってるね!
まとめ
マクドナルドのジュースはSサイズが1番お得である。
別解
公倍数を使っても考えることができるんじゃないかな。
もちろん、公倍数を使っても導くことはできます。子どもたちからそうしたアイデアが出てきた場合は、肯定的に受け入れてあげることが大切です。
ワンポイント
実際にマクドナルドのSMLサイズのカップを用意しておくと、子どもたちの好奇心がより高まるでしょう。全員分でなくても、クラスを分けて使うことも考えられます。一度揃えてしまえば、何度でも使える算数の教材として役立ちます。
2年生「水のかさ」でも使えます
2年生でする際は計算によって求めるのではなく、実際に「ます」を使って調べさせてください。
きっと、子どもたちは前のめりで活動に取り組むことだと思います。
日常生活で大活躍「単位量あたりの大きさ」
意識して過ごしている人は少ないと思いますが、実は単位量あたりの大きさは日常で大活躍しています。
・食べ物の値段表記(○g△円)(○個△円)
・栄養素の表記(○gあたり△g)など
これを指導者から伝えるのではなく、子どもたちから発見することがあれば授業としては大成功だと思います。
先生!この前、買い物にいったとき「単位量あたりの大きさ」が大活躍しました!
身の回りには「単位量あたりの大きさ」が溢れています!
このような子どもたちの発言が飛び交う授業を目指していくことも、プロの指導者としては大切なことだと思います。
そして、これを繰り返していくことで算数が好きな子ども達が増えていくと信じています。
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