素数ゼミ?
素数
素数とは1とその数自身でしか割ることができない数字で、小さい順に、2、3、5、7、11、13、17…と続きます。
素数ゼミ
北米にいるセミのことで、13年ごとと17年ごと(どちらも素数)に大量発生するため「素数ゼミ」と言われています。
今日は、この素数ゼミを題材とした算数の学習を紹介します。これを、どのようにして小学校の算数に落とし込むのか。どう授業に落とし込むのか。それには指導者の工夫が必要となってきます。
導入
(セミを見せる)
うわ、セミがたくさんいる!
これはアメリカにいるセミです。
アメリカにいるセミは13年ごとと17年ごとに大量発生します。
え、なぜ13年と17年なの?
問題
13年ごとと17年ごとに大量発生するのはなぜでしょう。
より簡単にするなら
・13年ごとに大量発生するのはなぜでしょう。
・17年ごとに大量発生するのはなぜでしょう。
このように、どちらかに絞ることで思考が拡散せずに済みます。
ポイント
指導者が子どもたちに対して適切なサポートをせずに、ただ問題を投げかけるだけでは、教育的な観点から見るとよくありません。特に算数が得意でない子どもにとって、適切なサポートなしに数学的な学びを深めることは難しいです。
ただ問題を投げかけるだけでは、子どもたちは算数を学ぶことではなく、単に勘に頼ることになり、本来の学習の深さや意味が失われてしまいます。
考え
セミを食べる捕食者との関係
13年ごとと、17年ごとにセミが大量発生する学説は複数ありますが、今日はその中の1つに絞って考えることにします。その1つとは、セミを食べる捕食者との関係があります。仮にこの捕食者が発生する周期を3年・4年とします。では、次の表に色を塗っていくことにします。
表で可視化する
この表を子どもたちに配布して色を塗らせます。ここがとても大切です。表に色を塗る過程で、ピンとくる子どもたちもいるかもしれません。PDFはコチラ。
実際に色を塗ったものが下のようになります。
表から何に気づくか
実際に確認すると、素数ゼミとその天敵の出現の重なりが非常にまれであることが分かります。この希少な重なりが、素数ゼミの生存に有利に働いていると考えられています
他の数字でも試してみる
「じゃあ○年周期ならどうなるんだろう・・・」「もし○年周期なら・・・」
このように自分たちで進んで考える姿勢を引き出せるようにもっていきたいですね。
素数って・・・
素数は他の数と共通する約数を1以外もちません。そのため、他の数との最小公倍数が大きくなってしまうという特徴があります。自分たちでいろんな数を試していくなかで、ここまで気づくことが出来たら算数を教える指導者としては感動してしまうレベルですね。
終わりに
動物や植物は自分たちの種を存続させるために、進化を繰り返してきました。そして、13年と17年という周期も、進化の過程で導き出されたものなのです。すべての出来事には「偶然」ではなく「必然」が存在します。その理由に迫ることで、算数を考える喜びを味わうことができるでしょう。
このような自然界の不思議な事象を探求することは、科学としての算数や自然科学に触れる素晴らしい機会です。子どもたちは自然界の摂理や算数の面白さを発見するでしょう。また「じゃあ○○は?」と新たな疑問をもつことになるかもしれません。そして、そこから学ぶ楽しさと驚きが生まれ、知識を深めていく原動力となることでしょう。
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