盛ったグラフに騙されるな!
私たちの身の回りにはさまざまなグラフがありますが、その中には実際の数字よりも都合のよい形で表現されたものも存在します。このような都合のよいグラフは、自分たちに都合の良い情報を過大に表現したり、都合の悪い事実を控えめに表現したりすることがあります。現代風の言葉でいうと「盛ったグラフ」ということです。
「このグラフは過大に表現しているなぁ」と気づくことができれば問題はありませんが、気づかない人はそのまま鵜呑みにしてしまいます。言い換えれば、「まんまと引っかかる」ということになります。
そこで、今回は「自分たちに都合のよい」グラフを意図的に作成していくことで、作り手としての視点を持ち、グラフに対する理解を深めていきたいと思います。これにより、数字やデータの本質を見抜く力を養い、情報に慎重にアプローチするスキルを向上させることが期待できます。
導入
あるドーナツ屋の販売個数をグラフにしたものです。
どのようなことが分かりますか?
期間は4月から8月です。
販売個数が増えていっています。
盛ったグラフを見せる
今度は、都合のよいグラフ(盛ったグラフ)を見てみましょう。
このグラフを見た子供たちはおそらく「さっきのグラフよりもっと売れているように見える」と感じることでしょう。実際に私が授業で行った際は「このグラフはズルい!」「本当に数値は同じ?」というような声もあがりました。
数値は同じなのに、グラフから受ける印象が全く違いますね。
でも、このようなグラフは身の回りに溢れています。
具体例
具体例を提示するとともに、どこがおかしいかも子供達に聞いてみるとよいでしょう。
次は実際にグラフをつくっていきます。
問題
「のなごん塾」の児童数の変化を表すグラフを作成しましょう。この際、より人数が増えたように見える工夫をしてみましょう。
見通し
縦軸の数値を変えれば・・・
棒グラフだけじゃなくて、折れ線グラフでも・・・
色を使うことも有効?
めあて
より人数が増えたように見えるグラフをつくろう
考え
ノーマル
縦軸を工夫
色を工夫
文字を入れる
まとめ
縦軸の数値を変えたり、波線を使ったり、色を工夫したりすると、より人数が増えたように見える。
最後に
今回の授業の最終的な目的は、都合のよいグラフを作ることではありません。身の回りにあるグラフを見たときに、批判的に考える力を養うことが最終的な目的です。
我々は日常生活でさまざまなグラフに触れますが、それらがどのようにデザインされ、表現されているかには様々な要因が影響します。グラフは情報を伝える手段として非常に有用ですが、そのデザインや表現方法には主観的な要素が含まれることがあります。
この授業では、児童たちにはただ単にグラフを描くことだけでなく、なぜそのように描かれたのかを問い、データの裏にあるストーリーや意図を理解する力を養ってもらいます。これによって、将来彼らが情報に接する際に、客観的かつ批判的な視点からデータを評価できるようになるでしょう。
最後に。
算数的には正しいグラフとは言えないものもあるということをしっかりと抑えておきましょう。
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