数学的な正解
四角形
四角形だと対角線が長いため向きによっては落下してしまうことがあります。
円
円形のマンホールの蓋は、その直径がどこも等しいため、落下の危険が少ないことで広く知られています。これだけでも興味深い授業ができます。
しかし、今日はさらに深く考えてみましょう。
なぜマンホールの蓋は円形なのか、円形以外の形状の蓋があった場合、それがどのような影響を及ぼすのかを考えることで、幾何学の概念をより深く理解できるかもしれません。それを通じて、日常の中に隠れた数学や科学の面白さを発見できるでしょう。
「円形だと落下しないから」以外の理由を考えよう!
もしかすると、マンホールが円形である理由を知っている子どもたちがいるかもしれません。実際、私が受け持ってきた学級では数人いたことがありました。そこで・・・
「円形だと落下しないから」以外の理由ってあるのかな?
と問うと、一瞬フリーズします。しかし、その一瞬のフリーズは思考が始まるゴングでもあります。
分かりそうで、分からない・・・
しっかりと考えれば、もしかしたら分かるかも・・・
このようなラインの課題は子どもたち挑戦意欲が高めることへと繋がります。
考え
安全性
四角形や三角形の蓋は角が出っ張っているため、角が欠けて破損してしまうことが想定できます。一方、丸い蓋は角がなく、破損することはありません。
効率性
丸い蓋は回転させることができるため、蓋を開け閉めする際の操作性が良いです。四角や他の形状の蓋は特定の向きでしか開け閉めできず、取り扱いが煩雑になる可能性があります。
また、持ち運ぶ際にも丸い蓋の場合は、回転させて運ぶことができるので重さがあっても一人でも持ち運ぶことが可能です。
強度
丸い形状は力を均等に分散しやすいため、強度が高くなります。丸い形状は均等な強度を持つため、より耐久性に優れています。
製造の容易さ
丸い形状は製造や加工が比較的簡単です。他の形状の蓋は角や曲線が複雑であり、製造コストや製造時間がかかる場合があります。丸い形状はシンプルで効率的な製造が可能です。
これらの理由から、マンホールの蓋は一般的に丸い形状が採用されています。安定性や効率性、強度、製造の容易さなどの要素が考慮されており、街のインフラ設備として最適な選択とされています。
上記の理由以外にも、子どもたちの意見が出てきた際はしっかりと聞いてあげましょう。
「正解」を考えるのではなく「納得解」「最適解」を探す授業とお考えください。
学習のねらい
小学校学習指導要領算数編のB図形領域のねらいは3つあります。その中の1つに以下の内容が記載されています。
「図形の機能的な特徴のよさや図形の美しさに気付き,図形の性質を生活や学習に活用しようとする態度を身に付けること」
今回の学習内容では、子どもたちはマンホールが円形である理由を考えることを通して「図形の機能的な特徴のよさ」に触れ、そこから「図形の性質を生活や学習に活用しようとする態度」を育むことがねらいといえます。
ただし、これは1時間だけでは身に付くものではありません。
指導者が継続的に、意識的に「算数と日常生活のつながり」を日々の学習の中に取り入れることで、身に付くものだと私は考えています。
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