教科横断的な学習
ここのサイトは世界各国の過去・現在・未来の人口ピラミッドが分かります。今回はこの人口ピラミッドを使って、算数科と社会科の教科横断的な学習を進めていきます。使っているサイトはこちら。
授業中はテレビにここのサイトを映し出して、必要に応じてその場で操作していくとよいでしょう。
人口ピラミッドは「資料の整理」の際に取り上げます。一部の算数の教科書会社では人口ピラミッドに触れることもありますが、それは限られた範囲です。もっと広い視野で人口ピラミッドを探求することで、さまざまな発見ができるでしょう。
人口ピラミッドを読み取る
日本の人口ピラミッドです。
男性の20代や30代がへこんでる!
だから、男性の方が人数が少ない!
このように、最初には人口ピラミッドの事実に目を向けさせます。しかし、この人口ピラミッドには何かが不思議に思える部分があります。上の子どもたちが指摘しているように、極端に20代と30代の男性が少ないのです。そこで、子どもたちに問いかけます。
「なぜ」を考える
どうして20代、30代の男性が少ないのでしょう。
この人口ピラミッドは何年のものですか?
確かに先生は2023年とはいっていませんでしたね。
この人口ピラミッドは1945年のものです。
あ、だからか!
何が「だからか!」なんですか?
戦争中だから、男の人は戦争で亡くなって少ない!
比較対象をつくる
これは2020年の人口ピラミッド(5の倍数の年しかデータがないため)です。さきほどの1945年のものと比較すると、いくつかの興味深い点が浮かび上がります。
・全体的に寿命が延びていることが分かります。
・多くの人が同じ年代に集中していることがありますが、他の年代に比べて少ない世代も存在します。
こうした事実に「なぜ」を問いかけることで、深い理解が得られるでしょう。また、これを元に将来の予測を立てることも考えてみましょう。参考までに2045年の人口ピラミッドもご覧いただけます。
他国の人口ピラミッド(2020年)
中東
UAE
カタール
クウェート
サウジアラビア
中東の石油を多く排出する国の共通点として男性が圧倒的に多いということです。様々な理由は考えられますが、その中の1つに「出稼ぎに来ている男性が多いため」というのが挙げられます。
アジア
カンボジア
40〜44歳が極端に少なくなっています。これは当時の指導者ポルポトの大虐殺が原因と言われています。
おわりに
今回は「富士山型」「つりがね型」「つぼ型」について触れませんでしたが、社会科の学習でこれらの概念を導入することも考えてみると良いかもしれません。
たった1つのグラフが、その国の歴史や状況を如実に示しています。授業では、ただ次々とグラフを提示するのではなく、1つのグラフに焦点を当てて、時間をかけて深く考察させることが大切です。
「なぜ」「どうして」を考える過程で、子どもたちは多くの洞察を得ることでしょう。
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