折れ線グラフ
小学校4年生の「折れ線グラフ」について、学習指導要領には以下のことが明記されいます。
「同じグラフであっても,折れ線グラフの縦軸の幅を変えることなどによって,見え方が異なることに気付かせるようにする。」
そこで今回は「縦軸の数値設定」について、指導者が教え込むのではなく、子どもたちが自ら発見していく授業をご紹介します。
グラフにおける縦軸の数値設定は重要で、3年生では棒グラフ、4年生では折れ線グラフの数値設定をしっかりと抑えておく必要があります。
ここでの学習は6年生や中学・高校での統計教育の素地となるため「グラフが読めたらいいや」で終わるのではなく、子どもたちが目的に応じて自由自在に縦軸の設定ができるようにすることが大切です。
導入
(画像を見せて)
いやーそれにしても毎日暑いですね。
本当、暑すぎる・・・
今年の夏は、いつもの夏より気温が高いそうです。
ニュースで見ました!
問題
下の折れ線グラフは東京都の2023年のものです。
ここに1973年の気温をかき足しましょう。1973年の気温はこちら。
縦軸の数値を予想する
あえて縦軸には数値を書いていません。まずは縦軸の1目盛りの数値を予想していきます。
予想を立てる
縦軸の数値が分かったら、次は1973年の気温を予想していきます。
1973年の気温を書き込む(グラフを完成させる)
書き込む過程を学習の中に取り入れることで、技能の育成をねらう意図があります。
問題②(本時の最大のねらい)
完成した折れ線グラフ
あれだけニュースで猛暑って言っているわりに、50年前とさほど変わらないですね。
だって、縦軸の・・・
縦軸の?
Aくんの続きを言える人はいますか?
縦軸の数値がおかしいです!
でも、ちゃんと気温を書き込むことができましたよね?
じゃあ、正しいんじゃないですか?
気温が100度になることはありえないので、100までの数値は必要ありません。
縦軸の数値について考える
この授業のポイントとなるところです。正解はありませんが、最適解はあります。
ここは1度子どもたちだけで考える時間をとってあげましょう。一人で問題に向き合う中で子どもたちは賢くなっていくのです。
子どもたちとのやり取りの中で最適解をめざす
指導者が最適解を言うことはやめてください。子どもたちとのやり取りの中で正しい方向に向かっていってください。その中で「あ、それいいかも!」「なるほど!」というようなクラスの反応があるはずです。
例
Before
After
2つグラフを比べると一目瞭然です。縦軸の数値を変えることで、変化が分かりやすくなります。
そうすることで、50年前と比べて今年の気温がいかに高いかが強調されることへとつながります。
まとめ
・縦軸の数値を変えることで、変化が分かりやすくなる。
・結果を強調したいときは、縦軸の数値を変えると良い。
ここに気づくことで、自分たちでグラフを作成する際に縦軸へと意識が向き、より良いグラフをつくってくれるでしょう。
おわりに
とても盛りだくさんの授業なので45分で完結するには急かしいと思います。
45分×2ぐらいでちょうどいいかと思いますが、その辺りは学級の実態によって変えてください。
縦軸に着目した学習は3年生の棒グラフでも可能です。また、少しアレンジすれば6年生の資料の整理でも可能です。子どもたちが目的に応じて、自由自在にグラフを作ることができるように縦軸の数値設定についてはしっかりと理解させてあげましょう。
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